ある元栃木の工業人.jp

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VAIO VGN-SZ シリーズの前期型と後期型のファン&ヒートシンクの違いについて

今、自分が使っているのはVGN-SZ53Bという、いわゆる前期型のSZシリーズ。

ここ最近にSSD化を行ったが、今度はCPUを交換したいと思い始めた。

もう完全に自己満足の世界である・・・

T5500(1.66GHz) → T7200(2.0GHz)への変更で若干の速度アップを図るが、当然ながらその分の発熱量も考えなければならない。あえてT7600でなくT7200にしたのも発熱量と電力消費を考えてのこと。

今回の発熱量増加を如何にして対応させようか考えたところ、後期型のファン&ヒートシンクを取り付けたらどうかと思いついた。世の中の電化製品のシリーズモノのだいたいは前半が人柱であるのはご存知の通り。後期型には前期型で蓄えた知識や経験が生かされていると考えられる。理由はそんなところだ。

SZは未だに現役の人も多いようで、特にこの改造のしやすさが名機とも呼ばれる由縁である。

しかしそうなると当然ながら性能差や互換性の疑問が出てくる。今回の記事はそこに視点を向けてみようと思う。



前期型(左)と後期型(右)

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形状の変更はあまりない。コネクタや電圧電流等の電気的な部分も同じ。
ファンケースには黒い切欠がある。これは後述のシンクに関係がある。
違う点といえば、ファンの形状が大きく異なる。


----↓ここから数十行は暇な人向け。互換性については後半↓--------------------------

ここからはだらだらと性能差についてみていく。

[前期型 MCF-519PAM05] ターボファン型 翼数:16枚  
[後期型 MCF-523PAM05] ターボファン型 翼数:25枚

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前期型は各翼に交互に斜めの加工がされている。これは動作時に上方向と下方向へそれぞれが風を送って相殺させ、上下への空気の漏れを防ぐ役割があると考えられる。非常によく考えられた構造だ。

後期型は各翼の形状はシンプルになったが、全体の形状が大きく改善されている。まず、表と裏がお椀のように翼が軸に向かってくぼんだ形状となっている。前期型を含めたこのファンのタイプはシロッコファンと同じ遠心ファンの一種に分類される。とすると、軸から離れるほど遠心力が増すため、軸に近い部分の翼はあまり必要がないのだ。これは中実と中空の丸棒の違いに似ている。

f:id:kazu_souri:20210131213845j:plain断面を見ると分かるように窪んでいる。しかも上面に若干の変更があり、内側が上方向に突き出している。そのため、吸引できる面積が大きく増加しているのが分かる。おまけにファンケースとの隙間がより狭められているため風圧が高くなっている。

翼の数が増えたことも意味がありそうだ。実際に動かしてみると風が粘り強く感じる。つまり、前期型は翼の間隔が広く、その間で外に向かう空気の流れと内側に戻ろうとする空気の流れが発生していたと考えると、空気の圧力が弱く、流れの速度だけで吐き出すため、ファンケースの広い吐き出し口の端っこの一部分に流れが集中してしまっていたのではないだろうか。それが後期型では翼の間隔が狭く対流が起きにくいために空気の圧力が高く、吐き出し口の広い範囲に少ないムラで送ることが出来るのではないだろうか。

ただし欠点もありそうだ。翼の間隔が狭いということはそれだけ摩擦が大きい。風圧は高いが風量が少なくなってしまうと考えられる。さらに、羽の枚数が9枚ほど増えてしまっている。プロペラが発する騒音の成分は大きく音量と周波数に分けられ、大音量は勿論だが、たとえ音量が小さくても周波数によっては不快に感じるものもある。周波数は「翼数×回転数」で求められるため、後期型騒音の周波数が高い

ファンのまとめとしては、外周部分の遠心力を若干高め、さらに吸引面積を増やした反面、摩擦が大きいことと騒音の周波数が高くなるという欠点がありそうだ。


次に、ヒートシンクとヒートパイプについて。

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ヒートパイプが後期型の方が1cmほど長い。また、ヒートパイプとロウ付けされた銅の面積=シンクの面積が増えている

前期型では下部に数ミリほど出っ張りがあるが後期型フラットだ。というのも、前期型はこの部分に直接風は当たらない。後期型は一番上の写真にもあるように、ファンケースに黒いシールが貼ってあり空気が漏れなくシンクに当たるようになっている。大きな変化としては後期型はヒートパイプ付近に大きくシンクが拡張され、面積がやや向上している。さらに出っ張りの部分がファンケースの一番強く風が吹き出す部分(切欠部分)に位置しており、より冷却効果が高められているといえる。

ヒートシンクの点でも後期型の方が冷却効果が高いと言えるだろう。


ファンとヒートシンクを見ていくと、前期型は進化した革新的な形状を求めたものになっているが、後期型ではよりシンプルで現実的な形状になっているように思う。妙に計算づくされた形状よりも、伝統的でシンプルな形状のほうが良かったようだ。

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互換性の問題に関して

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Aは切断してしまえば問題は無い。

Bは同じ後期型のヒートシンクであれば問題はない。

Cはマザーボードの電子部品との関係からこのままでは不可。
固定金ナットの上部分を2ミリほど削れば解決可能。(素材はアルミ)

Dはちょっと難題。マザーボードの穴が2ミリほどズレており、このままでは不可。

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ペンチでゆっくりと曲げることで解決は可能。



まぁ、こんなところでしょうか。

ファンはヤフオクで結構簡単に手に入りますが、後期型ヒートシンクは簡単に手に入りません。

交換するためには先ほどの互換性の問題がありますが、交換してみる価値はありそうです。

ちなみに室温28度くらいでCPUのアイドリング37度、youtube1080p再生時に最大74度です。
GPUはアイドリング50度で負荷時も50度台で推移しています。